国内留学のきっかけ

福岡大学医学部小児科に入局して以来、様々な疾患を診療させて頂く中で食物アレルギーに興味を持ちました。
福岡大学病院に勤務中にアレルギー専門医の資格を取得し、アレルギー専門外来や、年100-150例ほどの食物負荷試験(以下、負荷試験)を担当させて頂きました。その原因アレルゲンのほとんどは鶏卵・牛乳・小麦で、多くの患者さんが食品や加工品を摂取できるようになっていく喜びを共有できたときに小児アレルギー科医として非常に嬉しく感じていました。

一方でなかなか耐性獲得に至らない患者さん、少量摂取も困難な患者さんに対する最適なアプローチや、他の食物抗原にアレルギーをお持ちの患者さんをどのように導くべきなのかなど悩みもありました。そのような葛藤の中で、医局の尊敬している先輩から留学してみたらどうかとお声がけして頂いたことがきっかけで前教授の廣瀬先生に御了承頂いて、2020年4月から国立病院機構相模原病院(以下、相模原病院)へ国内留学させて頂くこととなりました。

国立病院機構相模原病院について

相模原病院小児科は、日本で負荷試験を全国に広めた海老澤元宏先生を中心に食物アレルギー診療/研究に関して世界をリードしている施設です。様々な原因アレルゲンや重症度の食物アレルギーでお困りの患者さんが相模原病院を受診しており、三大アレルゲン以外も積極的に負荷試験を実施しています。

相模原病院小児科ではレジデントとして給与を頂きながら勤務しており、外来担当・負荷試験担当・病棟担当など様々な業務を担っています。診療内で生じた疑問に対して指導医の先生方は親身に、そして論理的に御指導下さり、その都度自分の考えの至らなさを実感させられますが、日々の成長を感じています。

また今まで感じていた疑問点をヒントにして、学会発表や論文投稿に向けた研究を進めていくことも非常に新鮮で、生きがいを感じることができる有意義な時間です。アレルギー地方会で優秀演題賞を頂いたこと、SARS-CoV-2流行の影響で残念ながらWeb開催ではありましたが海外の学会で発表する機会を頂いたこと、英語論文がacceptされたことは個人的には成長の証だと感じています。次に控えている学会に向けて今後も研究を進めていきたいと考えています。

今後の目標

相模原病院で学びを糧にして、福岡大学小児科に戻ってからは、より深いアレルギーの臨床診療に加え、学会・地方会での発表演題数や内容の向上に貢献し、研究指導や後進育成にも力を入れたいと思っております。

最後に

このような素晴らしい機会を与えてくださった、前教授の廣瀨先生、2年間の国内留学を認めてくださった現教授の永光先生、福岡大学の医局員、諸先生方に心より感謝申し上げます。