当科では、以前よりチーム医療を重視し、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、医療保育専門士、臨床心理士等を早い段階から導入してきました。また、増え続けるアレルギーの患者とそのご家族の指導のため小児アレルギーエデュケーターを導入しています。

チャイルドライフスペシャリスト(CLS)

チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)は、医療環境にある子どもや家族に、心理社会的支援を提供する専門職です。具体的には、子どもたちの不安やストレスを軽減できるよう、遊びや季節行事を通して関わります。また、子どもが「心の準備」をできるようサポートする役割があります。子どもがこれから受ける医療を理解し少しでも主体的に臨めるように、ご希望があれば、処置や子どもの発達に合わせた検査説明、付き添いを行います。

2歳以下のお子さんへの説明は難しさを感じるのですが、一度、2歳のお子さんに腎生検のお話をすることがありました。生検後の24時間安静をお母様はとても危惧されていたのですが、その安静をきちっと守ることができた時には正直、私も驚きました。「説明がわかりやすかった。子どもなりに説明を理解できたのだと思う」とお母様が話して下さいました。また、先日、小学校5年生の時に長期入院をしていたお子さんが、高校に合格したことを知らせに病棟まで会いに来てくれました。お母様が「痛い処置や嫌な検査の時にそばにいてくれたことがずっと残っているようです」と話して下さいました。「入院中でも嫌なことばかりじゃなかったな、楽しいこともあったな。」「頑張れた!」と思っていただければと願っています。

医療保育専門士

医療保育専門士とは、一般社団法人日本医療保育学会が認定する資格で、入院中の子どもや家族のQOLを高めることを目的としていて、医療保育の専門的な技術・知識を習得します。入院中の子どもに対する接し方は、通常の保育とは異なります。病院には、検査や治療に対する痛みや不安、入院による生活環境に変化などにより、いろいろな思いを抱えた子どもや家族がいます。医療保育専門士は、子どもの発達年齢や状態に合わせた保育を提供し、成長・発達を支えながら子ども・家族が笑顔で過ごせる時間を持てることを大切にしています。

臨床心理士

私達臨床心理士は、医学の専門家ではありません。個別の心理面接、心理検査だけをする人と思われがちですが、それだけでもありません。心理的な側面から、医師や看護師、他コメディカルスタッフと共に、患者さんやご家族がどのような問題を抱え、手助けを必要としているか、医療者それぞれにどのようなお手伝いができるか、より良い医療について、真摯に向き合い、話し合う時間を大切にしています。

時には、医療スタッフからの相談に応じることもあります。小児科で心理臨床的アプローチはとても重要です。発達障害、食べられない、眠れない、学校に行こうとすると朝熱が出るお腹が痛くなる、チック等、一見すると体の病気ですが、実は心理的な問題が背景にある子どもがたくさんいます。また、小児の疾患は多様で、一刻を争うような急性疾患もあれば継続した治療の必要な慢性疾患もあり、長期入院を余儀なくされる、病気を抱えながらにして成長していく子ども達やご家族もまた、多くの場合、心の問題に直面します。打破できないと感じる問題を抱えた時、圧倒的な悲しみや不安に襲われた時、微力ではありますが、子どもの育ちに、ご家族の思いに同行する職種でありたいと願っています。

小児アレルギーエデュケーター

当院にはアレルギーに関する専門的知識と技術をもつ小児アレルギーエデュケーター(Pediatric allergy educator)の看護師が在籍しています。小児アレルギーエデュケーターとは日本小児臨床アレルギー学会の認定資格であり、アレルギーを持つこども達やその家族へ支援を行う専門のコメディカルスタッフ(看護師、薬剤師、管理栄養士)です。

現在アレルギー疾患の有症率は年々増加傾向にあり2人に1人は何らかのアレルギー疾患を有していると言われています。限られた中で多くのアレルギーを持つこども達を診療するアレルギー専門医と連携し、私たち小児アレルギーエデュケーターは活動しています。

アレルギーは慢性疾患であり、重症度によっては長期間にわたる治療や慢性的なアレルギー症状により、日常生活で様々な制限を強いられ、成長発達への影響を及ぼす可能性があります。私たちはこども達ひとりひとりの状況に応じた治療内容を日々の日常生活に置き換えてご家族と一緒に考え、指導を行っています。アトピー性皮膚炎のスキンケア指導、気管支喘息の環境整備、吸入指導や補助器具の選択、食物アレルギーの症状出現時の対応やエピペン使用方法についての指導、必要に応じて園・学校との調整などの支援を行っています。

私たち小児アレルギーエデュケーターは目に見えるアレルギー症状だけでなく、アレルギーを持つこども達や、ご家族の隠れた気がかりや心配事を把握し、専門的な視点で治療介入の必要性についても評価し、すみやかに多職種との連携をはかる役割も担っています。 アレルギー疾患を持つ子どもとその家族に寄り添い、身近な存在として私たち小児アレルギーエデュケーターが治療・生活の質向上に向けて継続したサポートを行ってまいりますのでぜひご相談ください。

他にも小児専門在宅コーディネーター、小児病棟の栄養士さん、薬剤師さんたちとも協力して日々診療を行っています。